『情報は整理しないで捨てなさい』奥野宣之著(PHP研究所)

わたくし的評価★★★★★(五段階評価)

情報は「整理」しないで捨てなさい

情報は「整理」しないで捨てなさい

本書の目的は捨てることに主眼を置いた「戦略的インプット」によって、アウトプットに違いを生む仕組み作りである。つまり、「ほかの人と違うアウトプット」を生み出すために、情報をどう料理すれば良いのかということだ。

本書によると「戦略的インプット」とは、

1.目をつくる
2.広く情報に触れる
3.使えるかを判断する
4.捨てる・拾う

という一連の流れのことであり、情報をインプットする前段階をも含めた広い意味で使われている。「戦略的インプット」は緊急医療の「トリアージ」のように情報をその場で処理し、情報をランクづけすることである。要するに、「自分がどのようなアウトプットをしたいのかを最初に明確にし、そのために必要な情報だけを拾い、残りはその場で捨ててしまいなさいよ」ということ。キーポイントは「情報のフィルター作り」と「その場で捨てる」の2点に集約されると思う。

詳しくは本書に譲るが、情報を溜め込んでしまい処理に困っている人にオススメ。本書を一読すれば、すぐに使えるテクニックを身に着けることができる。情報をうまくさばききれている人は本書を読む必要はないだろう。

血液型性格診断の妥当性

女友達とごはんを食べに行ったとき、高い確率で話題になるのが血液型について。男友達の間では全くといっていいほど話題にならないのに、女性はこの手の話が好きらしい。僕の血液型はO型だが、おばあちゃんは昔から「A型の人と結婚しなさい」と言っている。どうもO型の男性とA型の女性は気が合うらしい。でも、血液型で人の性格や他人との相性を判断するのはどうかと思う。血液という液体が人の性格や行動に影響するとは考え難いからだ。もっともその可能性を全否定するわけではないが、無自覚に血液型占いなるものを信じるのはどうかと思う。先日この手の女友達に「血液型占いは科学的根拠がないのになぜ信じるの?」と聞くと、「世の中は科学では説明できないものが多くて、いちいちそんなこと言ってたらきりないじゃん。科学では説明できなくても、実際に当たってるわけだし」と丸く言いくるめられてしまった。これ以上反論できなかった自分に悔しかったし、理系の女の子なのになぜ科学的根拠のないものを無自覚に信じてしまうのか、残念に思うというより呆れてしまった。この傾向は子どもの頃からの教育やメディアの影響なのではないか。さまざまな占いやオカルト現象を信じる信じないは個人の自由だけれど、科学という眼鏡を通してもう一度これらの現象について考えてもらいたい。

不思議現象 なぜ信じるのか―こころの科学入門

不思議現象 なぜ信じるのか―こころの科学入門

心理学の授業(立命館大学経営学部経営学科)で使っているテキスト。以上のことを心理学的側面から分かりやすく解説した心理学の入門書だ。少しでも多くの人に読んでもらいたい。