チンパンジーとイヌの面白い違い

月曜日大学の教養ゼミナール(動物行動経済学)で、筑波大学の竹花教授がゲストスピーカーで講義をされた。ワンちゃんを2匹(大型犬と小型犬)連れて来られたので、実験的な講義をされると思いきや、皆さんが想像されるような普通の大学の講義だった。大型犬のほうは老齢(人間でいうと70歳くらい)ということもあってかしらないけど、途中で横になってしまった。もうちょっとイヌと触れ合う時間があっても良かったのではと思うのだが(笑)本当それくらいイヌの出番がなかったというわけ。ワンちゃん遠いところからご苦労様。

それはさておき、題名にもある通り、チンパンジーとイヌには面白い違いがある。身体的な特徴など様々な違いがあるが、対人について考えてもらいたい。答えをちょろっと言うと、人間の目線や指差しに対するレスポンスの違いだ。

まずイヌについて考えてみよう。イヌはご存じの通り、人間の指示によく従う。面白い実験があって、イヌの前に餌が二つある。一方には山盛りの餌が、他方には少量の餌がある。そこで飼い主が少量の餌を指差して声を出したところ、イヌはそっちのほうを食べた。つまり、イヌは人間の動作を理解していることになる(本能によるものか学習によるものかの別はあるが)。しかし、飼い主が後ろを向いてしまうと、指示を待たずに餌を食べた。これは、人間の目線を理解していることになる。今挙げた実験は多くのイヌに対して行われ、必ずしも全てのイヌに見られたわけではないが、6、70%のイヌが同様の行動を取ったそうである。

次にチンパンジーのほうはと言うと、これが驚くほど結果が悪い。つまり、チンパンジーは人間の目線や指差しを理解できていないということだ。

他にはオオカミの場合も、結果が悪い。

どうしてこういう違いが生まれたのかというと、進化の過程が影響しているらしい。人間はチンパンジーから分化したし、イヌはオオカミから分化した。その過程で人間は相手とコミュニケーションを取る術を身につけて、自身の属するコミュニティーを発展させた。イヌは野生の状態から人間に飼いならされ、人間と共に生活するようになり、遺伝的に人間寄りになった。そういうことが影響して、イヌは人間の目線や指差しに注目できるようになったそうだ。

以上が今回の講義で深く突っ込んで学習した内容。心理学のオペラント条件付けの話も最初にざっとあったのだが、ほとんど忘れてしまった。2回生の前期に心理学を学習して、オペラント条件付けについて詳しくやったのに、忘れているとは何とも情けない。正の強化とか負の強化とか、ワード自体は覚えているのに、説明しろと言われたら具体例が思い出せない。心理学のテキストを引っ張り出してみるか。